このページの要点
- 権利の渡し方は、非独占の許諾、独占的な許諾、出版権の設定、著作権の譲渡の四つ。表題ではなく中身で選ぶ。
- 出版権は、79条から88条に内容が用意され、登録すれば第三者に対抗でき、出版権者は自分の名前で差止めを請求できる。
- 著作権を譲渡する契約で27条・28条を特掲しないと、これらの権利は譲渡した側に留保されたと推定される(61条2項)。
- 型を選んだら、媒体・地域・期間・独占・数量の5軸を書き込む。5軸のどれかが空白だと、後で争いになる。
結論:契約の表題ではなく、「何を・どこまで・誰に」渡すかで四つの型に分ける
出版やライセンスの契約は、表題が「出版契約書」「ライセンス契約書」「利用許諾契約書」「覚書」のどれであっても、中身をつくるのは権利の渡し方です。渡し方は、大きく四つに整理できます。以下では、作品の権利を持っていて他人に使わせる側を「甲」、使わせてもらう側を「乙」と呼びます。
- 非独占的な許諾:甲が自分でも使い続けられ、他の相手にも貸せる形で、乙に一定の範囲だけ使わせます。著作権法63条1項・2項の許諾です。
- 独占的な許諾:同じ範囲について、甲が他の相手に許諾しない(場合によっては甲自身も使わない)と約束します。独占という効果は、法律の特別な制度ではなく、契約で約束してはじめて生まれます。
- 出版権の設定:著作権法79条から88条が用意している、出版のための権利です。設定を受けた乙(出版権者)は、設定行為で定めた範囲を専有し、自分の名前で侵害者に差止めを請求することもできます。
- 著作権の譲渡:権利そのものを乙に移します(61条1項)。移した範囲について、甲は自分で使うにも乙の許諾が要る立場になります。
この順に、乙が得る力は強くなり、甲が手元に残す自由は小さくなります。どれが正しいということはなく、作品の使い道と、乙にどこまで任せるかで選びます。たとえば、一冊の書籍を一社に出版してもらい、増刷や電子配信まで責任をもって進めてほしいなら、出版権の設定か独占的な許諾が候補になります。複数の事業者に同じ作品を別々の用途で使わせたいなら、非独占の許諾が基本です。作品に関する権利を事業ごと引き渡す場合にだけ、譲渡を検討します。
もう一つ、結論として押さえておきたいのは、表題と中身はずれやすいということです。「出版を許諾する」と書いてあるだけで独占かどうかが読み取れない、「出版権を設定する」と書きながら出版の義務も登録の定めもない、「著作権を譲渡する」と書いても翻案に関する権利の扱いが書かれていない、といった具合です。ずれたまま署名すると、争いになったときに、条文の読み方で解決するしかなくなります。このページでは、四つの型の違いを条文と対応させて整理し、あとで各ページに進むための地図を示します。
権利の渡し方の四段階
◀ 甲の手元に残る乙に移る ▶
非独占的な許諾
貸す。他にも貸せる
- 63条1項・2項。許諾された利用方法と条件の範囲内でだけ使える
- 甲は自分でも使え、他の相手にも許諾できる(契約で制限しない限り)
- 利用権は、著作権者の承諾なく譲渡できない(63条3項)
独占的な許諾
貸す。他には貸さない
- 独占の効果は契約の約束による
- 甲自身も使えない形と、甲は使えるが他には貸さない形がある
- 第三者の侵害への対応は、契約で決めておく
出版権の設定
出版のための権利を専有させる
- 79条〜88条。設定行為で定めた範囲を乙が専有(80条1項)
- 出版の義務、存続期間、消滅請求などが法律にある
- 登録しないと第三者に対抗できない(88条1項)
著作権の譲渡
権利そのものを移す
- 61条1項。全部または一部を移せる
- 27条・28条の権利は、特掲がないと甲に留保されたと推定(61条2項)
- 著作者人格権は譲渡できない(59条)
「強い」というのは、乙が得る力と、甲が失う自由の大きさのことです。強いほど乙は安心して投資できますが、甲が他に展開する余地は狭くなります。
四つの型を条文で見る:何が法律で決まり、何が契約で決まるか
四つの型は、法律がどこまで内容を定めているかも違います。出版権は、法律が内容を細かく定めています。非独占の許諾と独占的な許諾は、63条が「許諾の範囲内で使える」という骨組みを置くだけで、残りは契約の文言が決めます。譲渡は、61条が譲渡できることと、27条・28条の推定規定を置くだけです。つまり、契約書の文言に頼る度合いは、許諾が最も大きく、出版権が最も小さいと言えます。
四つの型の比較(条文との対応)
| 型 | 乙が得るもの | 甲に残るもの | 第三者との関係・差止請求 |
|---|---|---|---|
| 非独占的な許諾 | 許諾された利用方法・条件の範囲内で使える(63条2項)。この利用権を乙が譲渡するには、著作権者の承諾が要る(63条3項) | 自分でも使え、他の相手にも許諾できる(契約で制限しない限り) | 利用権は、著作権を取得した者その他の第三者に対抗できる(63条の2)。112条1項が差止請求権者として挙げる者に、許諾を受けた者は含まれていない |
| 独占的な許諾 | 63条の利用権に加え、甲が他の相手に許諾しない約束(契約による) | 著作権そのもの。甲自身が使えるかは契約の書き方次第 | 63条の2は同じ。差止めなど侵害への対応は、契約で決めておくのが現実的 |
| 出版権の設定 | 設定行為で定めた範囲(文書・図画としての複製と、記録媒体に記録した複製物を用いた公衆送信)を専有(80条1項) | 著作権は残る。ただし専有させた範囲では、自分も同じ方法の出版ができない立場になる | 登録しなければ第三者に対抗できない(88条1項)。出版権者自身が差止めを請求できる(112条1項) |
| 著作権の譲渡 | 譲渡の目的とされた権利。27条・28条の権利は特掲がなければ含まれないと推定(61条2項) | 著作者人格権(59条)と、特掲されなかった27条・28条の権利 | 移転は登録しなければ第三者に対抗できない(77条)。譲受人は著作権者として差止めを請求する |
表の右端の列は、見落とされがちです。たとえば、独占的な許諾を受けた乙が、第三者の無断出版を見つけたとき、乙が自分の名前で差止めを求められるのかは、条文だけでは明らかではありません。112条1項が名前を挙げているのは、著作者、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者であり、許諾を受けた者は含まれていません。そのため、独占的な許諾では、侵害を見つけたときに誰が何をするのかを、契約で先に決めておく必要があります。この点は、権利の保証と侵害への対応で詳しく扱います。
出版権の設定と独占的な許諾は、どこが違うのか
書籍を一社に独占的に出版してもらう場合、出版権の設定と、独占的な出版許諾のどちらでも、見かけ上は同じ結果になります。違いが出るのは、次の五つの場面です。
- 法律が内容を用意しているか。出版権には、出版の義務(81条)、著作者の修正増減(82条)、存続期間(83条)、消滅請求(84条)といった規定があります。独占的な許諾には、これに相当する規定がなく、契約に書いた分だけが効力を持ちます。
- 第三者に対して主張できるか。出版権の設定は、登録しなければ第三者に対抗できません(88条1項)。逆に言えば、登録すれば対抗できます。許諾による利用権は、63条の2により、著作権を取得した者などの第三者に対抗できるとされています。
- 乙が自分で差止めを請求できるか。出版権者は、112条1項により、自分の名前で請求できます。許諾を受けた者については、条文に書かれていないため、契約で補います。
- 対象の範囲。出版権の目的は、文書・図画として出版することと、その方式で記録媒体に記録した複製物を用いた公衆送信です(79条1項・80条1項)。翻訳、映像化、朗読の録音による音声化などは含まれません。独占的な許諾は、契約で範囲を自由に広げることも狭めることもできます。
- 存続期間。出版権は、設定行為に定めがなければ、設定後最初の出版行為等があった日から三年で消えます(83条2項)。許諾は、期間を契約で定めます。
どちらを選ぶかは、乙にどこまでの力を持たせたいかで決まります。乙が「独占だけでは不安だ、自分で侵害者に差止めを請求できる立場がほしい」と考えるなら、出版権が向いています。甲の側からは、出版権を設定すると、出版義務の違反があれば消滅を請求できる(84条)という、法律上の拠り所が手に入る利点があります。他方で、出版権は登録まで含めた手続を伴うため、小さな取引では、独占的な許諾で足りることもあります。
確認の問いと理由出版権にするか、独占的な許諾にするかを決める問い
乙に、侵害者へ自分の名前で差止めを請求させたいか
請求させたいなら出版権(112条1項)。許諾なら、甲の名前で動くのか、乙が単独で動ける範囲があるのかを、契約に書く必要があります。
出版の義務を、法律の枠組みに乗せたいか
出版権なら、原稿などを受け取ってから六か月以内の出版と、慣行に従った継続の義務が法律にあります(81条)。許諾なら、期限と継続の水準を契約に書きます。
登録の手続まで行うか
出版権は、登録しないと第三者に対抗できません(88条1項)。登録を見送る場合は、そのリスクを理解したうえで、許諾との差が縮まることを確認します。
電子配信まで一つの権利でまとめるか
出版権は、紙と電子(公衆送信)を、権利としては別々に設定できます(80条1項各号)。紙だけを設定し、電子は別の契約にすることもできます。
朗読の音声化や翻訳まで含めたいか
これらは出版権の範囲外です。含めたいなら、許諾として別に書きます。詳しくは媒体別の許諾で整理します。
著作権の譲渡:渡るものと、手元に残るもの
権利を一括して渡す契約は、「譲渡」と書かれます。著作権は、全部または一部を譲渡できます(61条1項)。一部というのは、権利の種類(たとえば複製権だけ)、媒体、地域、期間などで分けた譲渡です。どこまでを移すのかが特定されていないと、後で範囲をめぐって争いになりやすい部分です。
譲渡で特に注意が必要なのは、次の三点です。
- 翻案に関する権利(27条)と、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)。著作権を譲渡する契約で、これらが譲渡の目的として特掲されていないときは、譲渡した者に留保されたものと推定されます(61条2項)。「著作権を譲渡する」とだけ書くと、映像化や翻訳などの権利が甲に残ったと推定される余地があります。乙が全部を手に入れたいなら、27条・28条の権利を含むと明記します。
- 著作者人格権。公表権、氏名表示権、同一性保持権(18条から20条)は、著作者の一身に専属し、譲渡できません(59条)。乙が作品を改変して使う予定があるなら、人格権との調整が、別に必要になります。譲渡と人格権の不行使の組み合わせは、別のガイドで扱います。
- 登録。著作権の移転は、登録しなければ第三者に対抗できません(77条1号)。譲渡を受けた乙が、第三者に対して自分が著作権者であることを主張する場面に備えて、登録を行うかどうかと、その手続への甲の協力を、契約で決めておきます。
条文例著作権を譲渡する条項の骨組み(一般的な例)
- 甲は乙に対し、本著作物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む。)を、本契約の締結の日に譲渡する。
- 甲は、乙が前項により譲渡を受けた著作権について登録を申請するときは、必要な書類の作成に協力する。
- 乙は甲に対し、甲が本著作物を、次の範囲で自ら利用することを許諾する。 (利用の方法・地域・期間をここに書く)
譲渡の後に、甲が自分でも使いたい場合は、第3項のような「逆許諾」を置きます。これがないと、甲は自分の作品を使うにも乙の許諾が要る立場になります。
表題と中身がずれる契約:よくある書き方と整え方
契約書の表題と中身が合っていないと、当事者が考えていた権利の渡し方と、書面が実際に生む効果とがずれます。ずれが起きやすい四つの場面を、書き方の例で示します。
書き方の例(一般的な例) 四つの型のずれを直す
許諾の範囲
理由媒体、地域、期間、独占の有無を書かないと、63条2項の「許諾に係る利用方法及び条件の範囲」が読み取れず、どこまで使えるのかで争いになります。
出版権の設定
理由出版権は、設定行為で定めるところにより専有の範囲が決まります(80条1項)。範囲、存続期間、登録の承諾が書かれていないと、法定の既定値(たとえば存続期間は三年)に頼ることになります。
譲渡の範囲
理由27条・28条を特掲しないと、これらの権利は甲に留保されたと推定されます(61条2項)。人格権は譲渡できないため、不行使の約束で調整するのが一般的です。
独占の意味
理由独占には、甲自身が使えるかどうかで二つの型があります。侵害への対応を誰が行うかも、条文が自動では決めないため、契約で決めます。
五つの軸で中身を決める:媒体・地域・期間・独占・数量
権利の渡し方を選んだら、次は、中身を決める五つの軸です。どの型を選んでも、この五つのうちどれかが空白のままだと、後でトラブルの種になります。
契約を組み立てる五つの軸
1媒体
紙の書籍、電子書籍の配信、パッケージ型の電子出版、オンデマンド、音声化、商品への複製など、どの方法で使わせるか
書かないと範囲を広く読まれても、狭く読まれても争いになります。63条2項は、許諾された利用方法の範囲内でだけ使えるとしています。
2地域
日本国内か、特定の国・言語圏か、世界全体か。ネット配信は国境を越えるため、配信先の扱いも決める
書かないと「全世界」と読めるのか「日本国内」と読めるのかが分かれ、海外で売られたときの扱いが決まりません。
3期間
契約の有効期間、更新の方法、出版権なら存続期間。終了後の在庫・配信の扱いも含める
書かないと出版権は、設定行為に定めがなければ最初の出版行為等から三年で消えます(83条2項)。許諾は、期間がないと終わらせ方が難しくなります。
4独占
独占か非独占か。独占なら、甲自身の利用は許されるのか、他の相手に許諾しない範囲はどこまでか
書かないと独占の効果は、契約で約束した分だけです。表題に「独占」と書いてあるだけでは、中身が決まりません。
五つの軸は、契約書の第1条から第3条あたりに集めて書くと、読み手が全体像をつかみやすくなります。
商品に商標(マークやロゴ)を付けて販売する契約では、商標の使用許諾が絡みます。商標法には、専用使用権(30条)と通常使用権(31条)という枠があり、登録した商標の使用を他人に認める仕組みが用意されています。契約では、使用してよい商品や範囲、表示の方法、品質の水準を条件として書くことになります。このガイドでは、商標の使用を商品化の許諾の中の「使用の範囲・表示・品質」の条件として扱い、商標の出願や権利化そのものは扱いません。
署名前に確認する十項目
- 権利の渡し方(非独占・独占・出版権・譲渡)が、契約書の文言から読み取れるか。
- 表題と、実際に生じる効果(専有か、独占か)が一致しているか。
- 媒体の範囲が、紙・電子・オンデマンド・音声化ごとに書き分けられているか。
- 地域(国内・海外・配信先)と言語が書かれているか。
- 期間、更新の方法、終了後の扱い(在庫・配信)が書かれているか。
- 独占の場合、甲自身の利用が許されるかが書かれているか。
- 譲渡の場合、27条・28条の権利が特掲されているか、人格権の扱いが決まっているか。
- 出版権の場合、範囲、存続期間、登録の承諾が書かれているか。
- 第三者の侵害を見つけたときの通知と対応の分担が書かれているか。
- 対価の計算と報告の方法が書かれているか。
このガイドの道案内:場面ごとに読むページ
契約の型を選んだ後は、場面ごとに読むページが変わります。目的に近いところから進んでください。
- 出版権を設定する、または設定を受けるなら:出版権の設定契約。79条から88条を契約条項に置き換える方法を整理しています。
- 紙・電子・オンデマンド・音声化をどう分けるか:媒体別の許諾。「将来の技術を含む」という包括条項の扱いもここです。
- 許諾料・印税の計算と報告:許諾料の計算式と報告・監査。部数・売上・純利益の基準を並べて比べます。
- 小説・書籍・脚本の映像化や舞台化:映像化・舞台化の許諾。27条と28条の関係を扱います。
- 翻訳や海外でのライセンス:翻訳・海外のライセンス。独占地域と通貨の決め方を扱います。
- 商品化の許諾:数量・在庫・販売期間と、監修・承認の流れ。
- 写真・図版を預けて使わせる:写真・図版の二次利用許諾。
- 権利の保証や侵害への対応:保証と侵害対応。
- 契約を終わらせる、権利を戻す:終了・絶版・権利の戻し方。
- 契約にないことが起きた、口約束しかない:トラブルとよくある質問。
漫画の制作を委託する契約、キャラクターを共同で作る契約、人の肖像を利用する契約は、別のガイドで扱います。このガイドは、すでにある作品を出版する、貸す、預けるという場面に絞っています。
起きがちなこと
権利の渡し方で起きがちなこと
- 「出版を許諾する」とだけ書いたために、独占かどうか、電子版を含むかどうかで、後から意見が分かれる。
- 「出版権を設定する」と書いたが、登録をしないまま第三者に別の権利が設定され、対抗できなくなる。
- 「著作権を譲渡する」と書いたが27条・28条の特掲がなく、映像化や翻訳の権利が甲に残ったと推定される。
- 「独占的に許諾する」と書いたが、甲自身の利用が許されるのかが読み取れず、甲が自分で出した版が契約違反になるか争いになる。
- 独占的な許諾を受けた乙が、第三者の無断出版を見つけたが、自分の名前で差止めを請求できるのか分からず対応が遅れる。
- 譲渡の後に、甲が自分の作品を自分で使えなくなっていたと気づく。
- 契約書の表題を信じて、中身を確かめずに署名する。
よくあるご質問
出版権の設定と、独占的な出版許諾は、どちらがよいのですか。
どちらが優れているかではなく、乙にどこまでの力を持たせたいかで選びます。出版権の設定を受けた乙は、設定行為で定めた範囲を専有し(著作権法80条1項)、自分の名前で侵害者に差止めを請求できます(112条1項)。ただし、第三者に対抗するには登録が必要です(88条1項)。独占的な許諾は、法律の定めが少ないぶん、契約の文言で補う必要があります。乙が差止めを自分で請求したい、出版の義務を法律の枠で定めたい場合は、出版権が向いています。
著作権を譲渡すれば、映像化や翻訳の権利も含めてすべて相手に移りますか。
移るとは限りません。著作権を譲渡する契約で、翻案などに関する27条の権利と、二次的著作物の利用に関する28条の権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定されます(61条2項)。また、著作者人格権は譲渡できません(59条)。すべてを移したい場合は、27条・28条の権利を含むと明記し、人格権の扱いも別に決めます。
独占的な許諾を受けた者は、第三者の無断利用に対して、自分で差止めを請求できますか。
112条1項が差止請求権者として挙げているのは、著作者、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者です。許諾を受けた者は、条文上は挙げられていません。この点は、条文だけでは一律に言えないため、契約で、侵害を見つけたときの通知、誰が請求するか、乙が単独で動ける範囲を決めておくのが実務的です。
契約の表題が「ライセンス契約書」なら、権利は貸しただけで、譲渡にはなりませんか。
表題だけでは決まりません。条項の中身が、権利を移す内容になっていれば、譲渡と評価される余地があります。反対に、「譲渡」と書いても、27条・28条の特掲がなければ一部が留保されたと推定されます。表題と、媒体・地域・期間・独占・数量の五つの軸が一致しているかを、条文ごとに読み直して確認します。
商品にロゴなどの商標を付けて売る場合、出版・ライセンスの契約と同じ書き方でよいですか。
著作物の許諾(著作権法63条)と、商標の使用の許諾(商標法30条の専用使用権、31条の通常使用権)は、根拠が別です。商品化の契約では、著作物と商標の両方が絡むことがあるため、使用してよい範囲、表示の方法、品質の条件を、それぞれ分けて書いておくと整理しやすくなります。商標の出願や権利化は、このガイドでは扱いません。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、契約の内容や取引の実態によって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 文化庁