このページの結論
商品化の許諾は、共通の条件を書く「枠組み契約」と、商品ごとの条件を書く「個別許諾書」に分けると、運用しやすくなります。
大切なのは、個別許諾書がなければ開発に入れない、と契約に書くことです。
あわせて、二つの書面が食い違ったときの優先順位と、期間のずれの扱いを決めておきます。
あなたはどれ? 場面で見る
| 場面 | 当てはまるもの | 用意するもの・すること |
|---|---|---|
| 商品を一つずつ増やしていく予定がある | 枠組み契約+商品ごとの個別許諾書 | 共通条件と、商品ごとに変わる条件の振り分け表を作る |
| 相手が示した書式に「別紙で追加する」とある | 二層構造の書式 | 「個別がなければ開発できない」旨と、優先順位の条項を確かめる |
| 作品の管理を、別の事業者に任せている | 許諾に第三者の同意が要る型 | 同意の取り方と、支払先の指定・変更の手続を決める |
| 「類似商品を他社に許諾しない」と書かれている | 独占の度合いを決める条項 | 対象・範囲・期間を絞り、自分の利用を残すか書く |
まず確かめる3点
書類の作成のご相談
御社の事業に合わせて、契約書を作成します。ご相談とお見積りは無料です。内容に合わせた詳しいご提案書をお送りします。
なぜ二層に分けるのか
商品化は、一度の契約で終わらないことが多い取引です。最初はスタンプ、次にグッズ、その次にデジタル商品、と商品が増えていきます。商品が増えるたびに契約書を丸ごと作り直すと、共通の条件まで毎回やり直しになります。
そこで、変わらない条件を枠組み契約に、商品ごとに変わる条件を個別許諾書に分けます。枠組みには、秘密保持、権利の保証、反社会的勢力の排除、解除、紛争の解決など、どの商品にも共通する条件を置きます。個別許諾書には、商品の名前、販売先、地域、期間、価格、許諾料の割合、支払日といった、商品ごとの条件を置きます。
著作権者は、他人に著作物の利用を許諾できます(著作権法63条1項)。許諾を受けた人が使えるのは、許諾で定めた利用方法と条件の範囲に限られます(同条2項)。つまり、利用できる範囲は、書かれた「利用方法」と「条件」で決まります。二層に分けても、この考え方は変わりません。個別許諾書が、その商品についての範囲を決める書面になります。
枠組み契約と個別許諾書の振り分け
| 項目 | 枠組み契約に書く | 個別許諾書に書く |
|---|---|---|
| 許諾の対象 | 許諾する作品群と、許諾の種類(独占か非独占か) | 商品ごとの名前と、使う作品・素材 |
| 範囲 | 利用できる大きな枠(商品の種類など) | 販売先・地域・数量・媒体 |
| 期間 | 枠組みの有効期間と更新の方法 | 商品ごとの期間と開発期間 |
| お金 | 支払いの基本ルール(締め・報告・監査) | 許諾料の割合、算式、支払日 |
| 責任 | 保証、秘密保持、解除、紛争の解決 | 商品ごとの承認の方法と、品質の確認 |
| 権利 | 許諾する権利と、制作物の権利の考え方 | 商品ごとの制作物の扱い |
振り分けで迷ったときは、「商品が変わると変わるか」を問います。変わるなら個別、変わらないなら枠組みです。数量や在庫の管理は商品化許諾の数量・在庫・販売期間の管理で、承認の流れは監修・承認の流れで扱っています。このページは、それらを入れる「器」の組み方に絞ります。
「個別がなければ開発できない」を効かせる
二層構造で最も起きやすい食い違いは、枠組みだけが先に署名され、商品の開発が先に動き出すことです。個別許諾書が整う前に制作が進むと、価格も、許諾料の割合も、期間も決まっていない状態で、商品が出来上がります。出来上がってからの交渉は、許諾する側にとって不利になりやすい場面です。
これを防ぐには、枠組みに次の趣旨の条項を置きます。
条文例個別許諾書がない商品の扱い
- 乙は、甲と乙が個別許諾書に署名または記名押印した商品についてのみ、その個別許諾書に定める範囲で、商品の企画、制作、製造、販売を行うことができる。
- 個別許諾書が整う前に乙が制作に着手した場合、その制作物について、本契約に基づく許諾は与えられない。
- 商品を追加するときは、乙が企画書を示し、甲が承認したうえで、新たな個別許諾書を作成する。
企画書の段階の費用を誰が持つかも、この条項のそばに書いておくと、後の食い違いを減らせます。
第2項は、見落とされやすい部分です。「許諾は与えられない」と書いておくと、着手済みの制作物を、許諾の範囲外のものとして扱う根拠が契約の中に残ります。逆に、この一文がないと、「制作が進んだのだから、そのまま販売してよい」という主張が出てくる余地があります。
商品を追加するときの流れ
- 企画書商品の内容、販売先、時期、使う作品や素材を、相手が書面で示す
- 承認の可否許諾する側が、企画書をもとに可否を決める。管理を任せる事業者がいれば、その同意もここで得る
- 個別許諾書の作成商品ごとの条件を、一つの書面にまとめる
- 署名双方が署名・記名押印をして、はじめて開発に入る
- 開発と確認承認の手順に沿って、見本や販促物を確認する
電子的な方法で締結する場合も、同じ順序を守ります。
個別許諾書に載せる項目
個別許諾書は、一枚で商品の条件が分かる書面にします。長く書く必要はありません。載せる項目を決めておくと、商品が増えても、同じ形で作れます。
個別許諾書に載せる6つの項目
1商品と販売先
商品の名前、内容、販売する場所(店やアプリの名前)
書かないと書かないと、どの商品の許諾なのかが特定できない
2地域と数量
販売する地域、製造や配信の上限
書かないと書かないと、制限がないと読まれやすい
3期間
許諾の期間、開発の期間、更新の方法
書かないと書かないと、枠組みの期間に引きずられる
4許諾料
割合や単価、算式、手数料や税の扱い
書かないと書かないと、計算の基準が食い違う
5支払い
締め日、支払日、支払先、報告の方法
書かないと書かないと、遅れたときの根拠が弱くなる
6承認と禁止
承認する人、確認する書面、してはいけないこと
書かないと書かないと、承認の責任の所在があいまいになる
価格の決め方を「相手と協議して決める」とする場合は、協議が整うまで販売しないことも書きます。
許諾料の「純利益」のような言葉を使うときは、何を引くのかを書きます。振込手数料、アプリストアの手数料、制作費、広告費、税金のうち、どれを引くのかで、受け取る額が変わります。
共通の言葉は枠組みで一本にそろえる
枠組みと個別許諾書で、同じ言葉が違う意味で使われると、食い違いの原因になります。「売上」「純利益」「商品」「販売先」「手数料」などは、枠組みの定義条項で一度だけ決めます。個別許諾書は、その定義を使います。
個別許諾書で、定義と違う意味で使いたいときは、その箇所で意味を書き、枠組みと異なる扱いであることを明示します。先の優先順位の条項と組み合わせると、どちらを読むべきかが一目で分かります。
定義は、初めて出てくる場所で書くのが基本です。枠組みの冒頭に、定義をまとめて置く書き方もあります。どちらにしても、個別許諾書が枠組みの定義を引くときは、「枠組み契約第○条に定める」と、条番号を書いておくと、読み違いが減ります。
例で見る:三つの商品が増えていく場合
仮の例で、二層構造の動きを見ます。実在の取引ではなく、組み立てを示すための例です。
イラストの作者が、制作会社と枠組み契約を結びます。枠組みには、共通の保証、秘密保持、解除、支払いの基本ルールを書きます。この時点では、商品は一つも決まっていません。
最初の商品は、スマートフォン向けのデジタルスタンプです。制作会社が企画書を示し、作者が承認し、個別許諾書①を結びます。販売先、期間、許諾料の割合を、ここに書きます。
半年後、同じ絵柄でステッカーを作る話が出ます。商品の種類が違うので、販売先も、製造の数量も、許諾料の算式も変わります。新しい個別許諾書②を結び、そこで初めて製造に入ります。
さらに後で、制作会社が、別の事業者と組んでアパレルを作りたいと言い出します。ここで、再許諾の可否、承認の手順、競合禁止との関係を確かめます。これらは枠組みに書かれていれば、個別許諾書③では商品ごとの条件を書くだけで済みます。
この例のように、枠組みが整っていれば、商品が増えても、毎回確かめる事柄が減ります。逆に、枠組みが薄いと、個別許諾書のたびに共通の条件を交渉し直すことになります。
食い違ったときの優先順位
枠組みと個別許諾書の内容が食い違うことは、実際に起きます。枠組みは「3年」、個別許諾書は「2年」と書かれている。枠組みは「純利益の一定割合」、個別許諾書は「売上の一定割合」と書かれている。こうした食い違いは、書面を別々に作る限り、避けにくいものです。
契約書に優先順位を書く場合の組み方は、大きく二つです。
- 個別が優先する型:商品ごとの事情を反映しやすい。ただし、個別許諾書で、共通の保証や秘密保持が薄められるおそれがある。
- 枠組みが優先する型:共通の条件が守られる。ただし、商品ごとの特別な取り決めが、枠組みに阻まれることがある。
どちらにも一長一短があります。一つの組み方として、原則は枠組みを優先します。個別許諾書が枠組みと異なる扱いをするときは、その旨を明示した場合に限り、個別を優先します。
書き方の例(一般的な例) 優先順位の書き方
優先の定め
理由「定めのない事項」だけでは、食い違いの場面の答えになりません。食い違いそのものの扱いを書きます。
変更の方法
理由「協議のうえ別紙で」だけでは、協議が整うまでの間の扱いが空白になります。
なお、優先順位の定めがない場合の扱いを、民法が一般的な形で決めているわけではありません。このページでは、優先順位の決め方を契約書に書く事柄として扱います。
期間のずれをなくす
枠組みには自動更新の条項を置き、個別許諾書には商品ごとの期間を置く。この組み合わせが、期間のずれを生みます。
確認の問いと理由期間について決めておく問い
枠組みが終わったとき、個別許諾書はどうなりますか。
一緒に終わるのか、個別の期間が満了するまで続くのかで、販売できる期間が変わります。
個別許諾書の期間が、枠組みの期間より長いときはどうしますか。
枠組みの終了後も、個別の期間の間は枠組みの共通条件が効くと書かないと、保証や秘密保持の根拠が消えます。
枠組みの自動更新を止めたいとき、いつまでに誰に伝えますか。
期限、方法(書面かメールか)、到達の基準を決めないと、止めたつもりでも更新される場合があります。
個別許諾書だけを終わらせることはできますか。
全部の解除と、一部の解除を分けて書くと、問題のある商品だけを止められます。
解除は、民法の定めを土台に、契約で書き足します。履行が遅れている相手には、まず期間を決めて履行を求め、それでも果たされないときに解除へ進みます。これが民法541条の基本の形です。相手が履行をはっきり拒んだ場合などは、催告を経ずに解除できる余地もあります(民法542条)。もっとも、この二つの条文が想定するのは、一つの契約の解除です。枠組みと個別のどちらを解除するのかは、契約書に書いておく必要があります。
条文例枠組みと個別の終了の書き方の例
- 本契約が終了したときも、個別許諾書の有効期間が残っているものは、その期間が満了するまで、本契約の第○条(保証)、第○条(秘密保持)、第○条(支払い)が適用される。
- 甲または乙は、特定の個別許諾書に係る債務の不履行があるときは、その個別許諾書のみを解除することができる。
- 前項の解除は、他の個別許諾書の効力に影響しない。
「一部の解除」を書く場合は、一部を解除しても契約の目的が達せられるかも、あわせて確認します。
「これに限定されず」型の範囲を絞る
枠組みの許諾範囲に、「次の商品を含む。ただし、これに限定されない」と書かれていることがあります。一見、柔軟で便利な書き方に見えます。しかし、許諾する側にとっては、範囲が書かれていないのと同じ結果になりえます。
文化庁に『誰でもできる著作権契約マニュアル』があります。このマニュアルは、独占的利用許諾を、著作権者が利用者以外に利用を許諾しない義務を負う契約と説明しています。また、特に規定がないときは、原則として非独占的な許諾になると説明しています。範囲の書き方があいまいだと、独占かどうかの判断も、利用できる商品の幅も、読み手によって変わります。
書き方の例(一般的な例) 許諾範囲の書き方
商品の範囲
理由類型の列挙で大きな枠を決め、「個別許諾書に書かれたものだけ」で実際の範囲を決めます。
追加の商品
理由「可能とする」だけでは、誰の同意で追加できるのかが読み取れません。
利用方法と条件の範囲を超える利用は、許諾の範囲外です(著作権法63条2項)。範囲を絞って書くことは、許諾する側を守るだけでなく、許諾を受ける側にとっても、どこまで作ってよいかが分かるという利点があります。
管理を任せている事業者の同意と、支払先
作品の管理を、事務所や代理の事業者に任せている人がいます。この場合、許諾の書面に「管理を任せている事業者の同意を得たうえで」と書かれることがあります。この一言が、契約の運用で大きな意味を持ちます。
確認の問いと理由同意と支払先について決める問い
誰の同意が、いつ必要ですか。
枠組みの署名時だけか、個別許諾書ごとか、承認の段階ごとかで、手間とリスクが変わります。
同意はどのような形で残しますか。
同意書を添付する、署名欄に副署をもらう、メールの記録を保存する、など形を決めておきます。
同意が得られなかったとき、契約はどうなりますか。
条件が満たされなかったものとして、効力が生じないのか、遅れて効力が生じるのかを書きます。
許諾料の支払先は誰ですか。変更はどう伝えますか。
支払先の口座の指定と、変更するときの書面の手続を書かないと、支払先の誤りが起きます。
許諾の主体は、著作権者です(著作権法63条1項)。管理を任せている事業者が、許諾の権限を持っているのか、同意をするだけなのかは、その事業者との契約で決まります。許諾の書面に入る前に、自分と管理事業者との契約を読み直しておくと、同意の手続が必要かどうかが分かります。
支払先を管理事業者の口座にする場合は、支払った時点で支払いが済んだと扱う旨も書きます。書かないと、許諾する側と管理事業者のあいだの行き違いが、許諾を受ける側の二重払いにつながるおそれがあります。
競合への許諾を禁じる条項の書き方
個別許諾書に、「本商品と類似する商品について、競合する事業者に商品化を許諾しない」と書かれることがあります。これは、実質的に独占に近い効果を持つ条項です。許諾する側は、他の事業者との取引の機会を失います。
競合禁止の条項で絞る4つの軸
1対象
何と何が「類似」なのか
書かないと解釈が広がり、関係のない商品まで制限される
2相手
「競合する事業者」は誰か
書かないと取引先の範囲が読み手によって変わる
3期間
個別許諾書の有効期間か、終了後も続くのか
書かないと終了後も制限が続いていると読まれる
4自分の利用
許諾する側自身が作る商品や、公式の販売は含まれるか
書かないと自分の活動まで制限される
独占を認める代わりに、許諾料の下限や、販売の最低実績を決める組み方もあります。
公正取引委員会に『知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針』があります。この指針は、ライセンサーがライセンシーに競争品の製造や販売を制限する行為について、不公正な取引方法に当たる場合があると述べています。その場合とは、公正競争阻害性を有するときです。ただし、この指針が対象にしているのは「技術」で、著作権法の関係ではプログラム著作物が挙げられています。書籍やキャラクターの商品化の許諾に、そのまま当てはまるかは、このページでは断定しません。
ここで押さえたいのは、競合禁止の条項は、書き方によって効果が大きく変わる、という点です。対象と期間と相手を絞って書くのが、許諾する側にも、受ける側にも、無理のない進め方です。
権利の帰属を枠組みに一括で書かない
枠組みに、「商品開発に関する著作権その他の権利は、乙に帰属する」と一括で書かれていることがあります。制作物の権利を、制作した側が持つのは自然な場面もあります。しかし、この一文は、読み方によっては、許諾した作品そのものの権利にまで及ぶように見えます。
確認の問いと理由帰属の条項を読むときの問い
「制作物」に、許諾した作品そのものは含まれますか。
含まれると読める書き方なら、「許諾した原作品の権利は移転しない」と明記します。
二次的著作物に当たるものは、誰が何の権利を持ちますか。
二次的著作物を、原作者が利用するときの権利は、著作権法28条が定めています。商品ごとに整理します。
権利を譲渡する場合に、翻案などの権利は譲渡の対象ですか。
譲渡の契約書に翻案権など(27条・28条の権利)を名指しで書かないと、それらは譲渡した側に残ると推定されます(61条2項)。
人格権を行使しない特約は、誰に対するものですか。
相手と、相手が指定する第三者の範囲を書き、範囲を超えて広がらないようにします。
帰属は、商品ごとに違ってよい事項です。枠組みには原則だけを書き、商品ごとの扱いは個別許諾書に書く、という組み方をおすすめします。
相手の示した書式で受けるとき
販売の場を運営する会社が、共通の書式を示して、契約を求めてくることがあります。書式が多数の人に同じ形で示されているのか、個別に条件を決めているのかは、契約の性質を考えるうえで大切な点です。
民法548条の2には、あらかじめ準備された条項の集まりを「定型約款」として扱う規定があります。対象になるのは、相手が不特定多数であり、内容の画一性が双方にとって合理的な取引です。条件を個別に決める商品化の許諾が、これに当たるかは、取引の実態で判断されます。
実際の場面では、書式が定型的でも、価格や許諾料の割合などを個別に決めているなら、その部分は個別の合意として読めます。どの部分が共通の書式で、どの部分が個別の合意なのかを、書面の上で分けておくと、後の確認がしやすくなります。
署名前に確かめる項目
署名前に確かめる項目
- 共通の条件と商品ごとの条件が、別の書面に分けられている。
- 個別許諾書がない商品は開発できない、と書かれている。
- 個別がない状態で着手した制作物に、許諾が与えられないことが書かれている。
- 枠組みと個別が食い違ったときの優先順位が、書かれている。
- 枠組みの終了後の個別許諾書の扱いが、書かれている。
- 個別許諾書だけを解除できることが、書かれている。
- 「これに限定されず」の表現がなく、範囲が類型と個別記載で決まる。
- 管理を任せる事業者の同意の取り方と、記録の方法が決まっている。
- 支払先の口座と、変更の手続が書かれている。
- 競合禁止の対象・相手・期間・自分の利用が絞られている。
- 許諾した作品そのものの権利は移転しないことが書かれている。
起きがちなこと
- 枠組みだけを先に署名し、個別許諾書が整う前に制作が進んでしまう。
- 枠組みと個別で、許諾料の基準(売上か純利益か)が違い、どちらで計算するかで揉める。
- 枠組みの自動更新に気づかず、更新を止める期限を過ぎてしまう。
- 管理事業者の同意を得ないまま許諾してしまい、後から同意の有無が問題になる。
- 「類似商品を他社に許諾しない」の範囲が広く読まれ、他の取引ができなくなる。
例外と細かい条件
このページは、一般的な商品化許諾を想定しています。次のような場合は、別に確認が必要です。
- 商標の使用許諾を伴う場合は、使用の範囲、表示、品質の条件を別に確認する。商標の登録や権利化は、このページでは扱わない。
- 許諾の相手が海外の事業者の場合は、翻訳・多言語化・海外配信のライセンス契約で扱う準拠法や管轄を確認する。
- 許諾を受けた者が、さらに別の事業者に許諾する(再許諾)場合は、再許諾先の管理を別に決める。
- 許諾の権限が著作権者以外にある場合(共有の著作物など)は、全員の同意の要否を確認する。
- 利用権の譲渡は、著作権者の承諾がないとできない(著作権法63条3項)。事業の譲渡や会社の合併のときの扱いも決めておく。
許諾を受けた者の利用権は、著作権を後から取得した人などの第三者にも主張できます(著作権法63条の2)。ただし、これは許諾を受けた側の利用権の話です。許諾する側が、枠組みや個別許諾書で何を約束したかは、契約書の中身で決まります。
この記事の数字について
このページで使っている数字は、条文の番号が中心です。統計や調査結果の数字は使っていません。例として書いた期間や割合は、書き方を示すためのものです。実際の取引の水準を示すものではありません。
根拠・出典
- 著作権法27条、28条、61条、63条、63条の2(e-Gov法令検索、2026年10月23日に現行を確認)
- 民法522条2項、541条、542条、548条の2(e-Gov法令検索、2026年10月23日に現行を確認)
- 文化庁『誰でもできる著作権契約マニュアル』(独占的利用許諾と非独占的利用許諾の説明)
- 公正取引委員会『知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針』(平成19年9月28日、平成28年1月21日改正。競争品の製造・販売の制限の考え方と、対象が「技術」であること)
よくあるご質問
枠組み契約と個別許諾書は、どちらか一つだけではいけませんか。
一つの契約書にまとめることもできます。ただし、商品が増える予定があるなら、共通の条件と商品ごとの条件を分けたほうが、追加のたびの手間が少なくなります。商品が一つだけで、増える予定がないなら、一つの契約書で足りる場合が多いです。
個別許諾書がないまま、商品の制作が始まってしまいました。どうなりますか。
契約書に「個別許諾書がなければ開発できない」旨や、「着手済みの制作物に許諾は与えられない」旨があるかで、扱いが変わります。許諾は、利用方法と条件の範囲内で利用できるというものですから(著作権法63条2項)、範囲が決まっていない商品は、整理してから進めるのが基本です。
枠組みと個別許諾書で、許諾料の算式が違います。どちらが有効ですか。
優先順位の条項があれば、それに従います。条項がなければ、書面全体の読み方で判断されることになり、見通しが立ちにくくなります。食い違いに気づいた時点で、書面で訂正する合意を残すのが、現実的な進め方です。
管理を任せている事業者の同意がないまま、許諾してよいですか。
管理を任せる契約の内容によります。事業者が許諾の権限を持つ契約なら、自分では許諾できないことがありますし、同意を要件にする契約なら、同意なしの許諾が契約違反になることがあります。許諾の前に、管理の契約を読み直してください。
「類似商品を他社に許諾しない」と書かれていると、他の商品化はできませんか。
「類似」の範囲、「他社」の範囲、期間によります。範囲が広く読めるなら、対象を商品の類型で絞る、期間を個別許諾書の有効期間に限る、自分で作る商品は含めない、といった形に直しておくと、他の取引への影響を抑えられます。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、契約の内容や取引の実態によって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 文化庁